
あれから10年以上たった今でも「故郷」を奪われた日から十数年、ちっちゃい私はまだ泣いている気がする。
人はどのようにして苦しみや悲しみを乗り越え、前を向くことができるのか。
戦争体験者の「語り」はきっと教えてくれる。
戦争を経験した方々にお話を伺っていると、言葉の節々から伝わってくる感情の鮮明さにしばしば驚く。彼らの悲しみや怒りは凪いだものではなく、まるでこの瞬間の感情であるかのような激しさがあるのだ。こんなにもビビットな記憶や感情を抱えたまま、この人たちは戦後を逞しく生き抜いたのか。ん?じゃあ、つらい過去を乗り越える=忘却することではないんじゃないか?乗り越えたい体験がある私にとって、その気づきは「希望」だった。原発事故による影響を懸念し、生まれ育った福島県をやむなく離れてから10年以上が経つ。今でも 「理不尽に故郷を奪われた」という怒りが燻っており、自分だけがあの頃に取り残されているのではないかと悩んでいる。戦争体験者は知っているはずだ、忘れなくても過去を乗り越えられる方法を。それをどうしても知りたい。私の自由研究はこうしてスタートした。
福島県出身 都内大学の学部3年生
学生
福島県出身。都内在学中。