
父の遺品から発見した戦争の痕跡
生前戦争のことを一言も話さなかった父
‥‥でもそれは、<私>が聞かなかっただけなんだ
父が亡くなったのは20年以上前のこと。先ごろ母も彼岸の人となり、実家の整理をすることになった。残されたさまざまなモノを「捨てるかどうか?」迫られることになった。
長らくそのままだった父の机の引き出しや本棚。なんと!そこに知らなかった父の姿を発見。敗戦の年に中学生だった父。同窓会誌に綴られた「中島飛行機での学校動員のことは全く悪夢の中の出来事のようである」という言葉。陸軍士官学校の文集。傍線の引かれた本。軍服姿が写った古いアルバム…次々に見つかった戦争の痕跡。特攻に行くとわかって陸軍士官学校を受験した16歳。いったいどんな気持ちだったのだろう?もう応えてくれる人はいないけど、今からでも遅くない。残されたモノ達と向き合ってみよう。そう思ったとたん、不思議とさまざまなモノが語りかけてくる。点と点を結んで想像を巡らす。その作業を通して、いつのまにか遠い出来事だと思っていた戦争が、ぐんぐん<私>に近づいた。
下中菜穂
造形作家、もんきりや伝承切り紙、手仕事、行事の研究/昭和のくらし博物館副館長
江戸時代の切り紙「もんきり」と出会い、暮らしの中で息づいてきた「切り紙」や伝統的な「かたち」や伝承行事などを研究。私たちの今の暮らしの中に活かしていく活動を続ける。「アジア暮らしの暦プロジェクト」「旧暦カフェ」を主宰。映像百科事典「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ」の活用など、「観る(知る)やってみる 問い続ける」実験的な活動を展開。
保護中: 父の本棚から見つけた陸軍士官学校生の記録集
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